月刊ショータ

元電通コピーライター。ずっと自称コラムニスト。著書『広告業界という無法地帯へ ダイジョーブか、みんな?』、『カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で』

「アメリカの叫び」

カントリーのラジオから叫びのような歌が聴こえてくる。 鉄をグラインダーで削ったときに飛び散る火花のような歌声と、胸ぐらを掴んでくるようなメッセージが、うつくしい旋律に乗せられている。 「なんだこの歌は」と驚いて調べてみると、Aaron Lewisという…

「毛のことに、いちいちうるさい国」

大阪の高校で、「髪を黒く染めろ」と強要されてモメた末、不登校になった女子生徒が慰謝料など損害賠償を求めた二審判決がニュースになった。 一審の報道: www.nikkei.com 二審: www.sankei.com 判決は、一審と同じく、「学校側の指導に違法性はない」とし…

「古いものは、腐ってない限りよいのではないか」

ダイバーシティだとかサステナビリティ―だとかSDGsだとかポリティカリーコレクトネスだとか、ホント―にうるさい世の中になったものだが、いつの世も敬意を払われモテるのは、男らしい人、女らしい人であるというのは強烈な皮肉である。 ……てなことを、ア…

「世界はなにをそんなにサステインしたいのか」

いま、世界中を覆い尽くす大問題は「偽善」なのではないかと思う。 もちろん、ウィルスは喫緊の問題なんだけど、ワクチンのおかげで克服の道筋がついた。そのうち治療薬も出てくることだろう。 アディダスが名品スタンスミスにレザーを使うことをやめて、合…

「恋のドアは、開けておけ」

ラジオで悩み相談の番組を聴いていたら、こんな質問だった。 「私は恋愛に興味がなくて、彼氏もほしくありません。親や友人など、まわりの声も鬱陶しいし、本当に価値観を押しつけてほしくないです。こんな生き方は許されないのでしょうか」 それに対して、…

「7回の夏の昔、なにをしていただろう」

久しぶりに音楽アルバムを買った。買ったと言っても、モノとしてのCDではなくてダウンロードなんだけど、以来ずっと聴いている。 モーガン・ワレンという若いカントリー歌手で、僕はまず彼の”Whiskey Glasses”という曲で注目していて、不適な面構えも、ガサ…

「BLMとはなんだったのか」

誰も書きたくないことを書くこのコラムだが、ここのところずっと考えていて、答えが出せないままのことがある。 ひとりで夜道を歩いていたら、向こうから黒人の男性が三人やってくる、としよう。僕は心のどこかで「怖いな」と思ってしまう。これは差別なのか…

「コロナ禍を、人間として生きること」

コロナにはじまり、コロナに終わった一年であった。 皆さん、おつかれさまでした。……なんだけど、まだ終わっていないどころか、日本の感染者数は過去最多の4515人で2020年を締めくくるという、苦い苦い年の瀬となった。 僕個人の感慨としては、ウイルスそれ…

「なんだか泣けた夜の話」

45才になりました。信じられません。 成人して四半世紀、25才で会社に入ったから、社会人20年ということになる。人生50年ならもう晩年を迎えているのに、大したことはしていない。 同じ45才で亡くなった著名人たちを挙げると、クイーンのフレディー・マーキ…

「つくし狩り」

今回はnoteに書きました。 特に見どころのないエロ小説です。どうぞ… note.com

「酔っ払いが大嫌い、だった」

僕が酒を飲みはじめたのは遅くて、二十代も後半になってからだ。 両親と男ばかり三兄弟の家族なのに、冷蔵庫にヨーグルトやプリンはあってもビールはないような家庭だった。 若いうちに何度か飲酒を試してみたけど、おいしいとも思えないし、心臓バクバクす…

「ブラックライブスがマターすると、レッドスキンはどうしたらいいのか」

「もう人類はムリなんじゃないか」と思ってしまうような夏がつづいている。 ほとんど遊びにも行けないのに、いやになるくらい暑いだけで、冬にはじまったウイルスがしぶとくて、世界中が猖獗の地となり、香港で自由を求める人たちは法改正による恐怖に意気消…

「あらゆるものが『生きろ』と言うが」

死について考えるとき、それが身近な誰の死であっても悲しいものだろうし、なかんずく自分の死であるなら恐れない人はいない。死ぬのはなるべく先延ばしにしたいものだ。 ALS(筋萎縮性側索硬化症)に苦しむ女性が、医師二名に安楽死を依頼し、それに応えた…

『カウボーイ・サマー』(第1章無料公開)⑥最終回

DAY 6「陽気な牧場主」 目覚めると、目の前に牛の大群がいて慄然とした。朝靄もやにかすむ午前六時、牛たちは水を飲みに来たのだろう。 まだ誰も起きていないから、僕は読書をして待った。本を読む余裕もないほど毎日いろいろあったから、本を開くのは行きの…

『カウボーイ・サマー』(第1章無料公開)⑤

※DAY 5も、DAY 4につづいて殺生があります。閲覧注意ですね…。 DAY 5「命を扱う厳しさと、ジェイクの小さな夢」 晴れているが風の強い日。日曜日だから、仕事は遅めの開始とジェイクから伝えられていたのに、僕はまた六時半に目覚めてしまった。 馬とポニー…

『カウボーイ・サマー』(第1章無料公開)④

※このDAY 4は残酷な描写を含みますので、閲覧注意でお願いします。しかし、都市生活者の視点からは残酷でしょうが、牧場では当たり前のことなんですね…。 DAY 4 「牛の解体」 ミーが死んだ。 その日、僕はディーンの家の荷物整理を手伝って、不要な段ボール…

『カウボーイ・サマー』(第1章無料公開)③

DAY 3 「ブランディング」 三日目にして、ビッグデイを迎えた。ブランディングである。ブライアンとチャドという親子が経営する牧場へ、牛の焼印捺しの作業を手伝いに行くのだ。 焼印をブランド、それを捺す作業をブランディングと呼ぶが、広告業界で言う企…

『カウボーイ・サマー』(第1章無料公開)②

DAY 2 「カウボーイって今でもいるんですか?」 朝六時半に自然と目が覚めた。会社員時代にはまずなかったことだ。 僕は電通という広告会社のコピーライターだった。コピーを書くだけでなく、イヴェントをプロデュースしたり、ブランド・コンサルタントのよ…

『カウボーイ・サマー』(第1章無料公開)①

私、前田将多のカウボーイの旅から5年になる夏、『カウボーイ・サマー』発売から3年になる記念に、第1章を何回かに分けて無料公開します。 旅した気分で、ゆっくりおたのしみください。 ------------------------------------------------------------------…

「留学なんて、しにくくていいのだ」

新型ウイルス禍により学校教育が中断している現状を鑑み、「9月入学」が議論されている。 日経新聞が知事41人から回答を得たアンケートによると、6割が賛意を示したという。 新型コロナ:9月入学、知事の6割「賛成」 グローバル化進展期待 :日本経済新聞 産…

「なにかを嫌うことは自由だろう」

先々月、3月11日にライターの田中泰延さん、アートディレクターの上田豪さんとの酔っ払い鼎談の第3弾『僕たちはおかげさまでここにいる』を行なった。まだ外出自粛要請もされていない呑気な世の中であった……(はやく「大変だったね」と笑えるようになりま…

「自分以上に信じたい人はいますか?」

ケニー・ロジャースが2020年3月20日に、81才で老衰のため亡くなった。 日本では知っている人は少ないかもしれないが、アメリカの国民的スターと呼んでも差し支えないカントリー歌手であった。わかりやすい例を挙げると、1985年に”U.S.A. for Africa”というア…

「食っていく、という話をしてきた」(後篇)

映画カフェバー「ワイルドバンチ」(大阪市北区長柄中1丁目4−7)で毎月開催されているトークイベント『食っていく、という話をしよう』の第7回に呼ばれて、90分お話ししてきた。 当日お話ししたことをベースに、青春記のようなかたちでまとめたのが本稿で…

「食っていく、という話をしてきた」(前篇)

映画カフェバー「ワイルドバンチ」(大阪市北区長柄中1丁目4−7)で毎月開催されているトークイベント『食っていく、という話をしよう』の第7回に呼ばれて、90分お話ししてきた。コロナウィルス騒動にもめげずに来てくださった皆さん、ありがとうございま…

「権威に抗うことを生き甲斐にしているやつら」

「泣く子と地頭には勝てない」ということわざがあるが、僕が反論したり言い争いをしたりしないように心がけている人間が二種類いて、そのひとつは警察官である。人並みに交通違反で警官に止められたことはあるが、そういう時も言い逃れや言い訳を試みないこ…

「誰もつくっていないのに、誰かがつくったかのようなルール」

長いこと日本社会を眺めていると、多くの人が感じているであろう息苦しさの一因はこういうところにあるのではないか、と考える。 それは、日本特有の「ただの慣習が、あたかもルールであるかのように固定化する現象」である。サラリーマン文化に顕著だ。 た…

「日本を救うでっかいハナシ」

先月、シアトル・マリナーズの球場でメジャーリーグの野球を観戦した際、ホットドッグとフレンチフライズ(ポテト)とビールを買ったら、27ドル50セントした。1ドル=110円として計算すると、3025円である。 それだけで3千円を超えているのである。 もちろ…

「なかなかしんどいワンダーランドへの旅③」

トレイルに入って3日目の朝、岳ちゃんは残りの三人よりも1時間ほど早く、8時半にキャンプ地を出て行った。「トレイルから逸れたところにクレセント・レイクという湖があって、そこが絶景らしいんです。そこで竿を振るのが、僕の今回の一番の希望なんです…

「なかなかしんどいワンダーランドへの旅②」

その晩は、疲れ果てて8時には寝て、狭いテントの中でもすぐに眠りに落ち、7時間ほど一気に眠った。 激しい雨音に目が覚めて、腕時計を見ると3時すぎだった。 車中泊をした前の晩の予報がヘヴィーレインだったが、今夜の方がよほどヘヴィーだ。遠くで雷鳴…

「なかなかしんどいワンダーランドへの旅①」

またしんどい旅をしてきた。 しんどかった旅をもう一度反芻して旅行記コラムを書くのもしんどいのだが、自分と、一緒に行った友人たちがのちに楽しめるように書くことにしよう。 そして、毎度そうなのだが、こんな外国の山奥に行きたくもないし、行く装備も…