月刊ショータ

元電通コピーライター。ずっと自称コラムニスト。著書『広告業界という無法地帯へ ダイジョーブか、みんな?』、『カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で』

2018-01-01から1年間の記事一覧

「きみはなにを考えて仕事しているのか」

年末だから、よし、今年あった楽しかったことを振り返ってみよう。悲しかったことは忘れてしまおう。 今年といってもつい先日の話だが、銀座の広告デザイン会社代表をされている上田豪さんと、僕の電通時代の先輩で「青年失業家」である田中延泰さんと、神田…

「テレビって、いる?」

僕がカナダの牧場でカウボーイをしていた頃、アメリカのケンタッキー州から遊びに来ていたニールというおじさんがいた。彼は企業の工場を設計・建設する会社を経営していて、大金持ちだった。 「今度、わたしのうちに遊びに来なさい」 と言うので、僕はカウ…

「新聞って、いる?」

先日、『働かざる者たち』(サレンダー橋本著・小学館)という漫画を読んだ。斜陽産業と言われて久しい新聞社の中にいる、さまざまなタイプの働かないおっさんたちを描いた哀しくて笑えるものだった。 僕は電通に勤めていた頃の何人かの顔を思い出したし、新…

「今夜も悲しいきみへ」

今朝いきなり訃報が舞い込んできた。 カナダの牧場にいる日本人カウボーイ「ジェイク」から、「ステュがなくなった。おそらく心臓麻痺」というメッセージを受けた。 「ポッカリ穴があいた感じ」というジェイクに返せる言葉を探すには、しばらくの時間を要し…

もうすぐ死ぬかのように生きること

一時間幸せになりたければ、酒を飲みなさい。三日間幸せになりたければ、結婚しなさい。八日間幸せになりたければ、豚を殺して食べなさい。一生幸せになりたければ、釣りを覚えなさい。 という中国古諺があるらしい。 僕なら一生幸せになりたければ、カント…

「太くて黒い棍棒を」

僕の仕事仲間に山本太郎さんという人がいた。仮名か実名かわからない名前なのでこのまま書こう。もちろんあの政治家とは無関係だ。 太郎さんはちょっと変わった人で、よくしゃべった。あんまり人の話を聞かずにしゃべるくせに結論がなかったりするので、会議…

マエダという名前とインドネシア

もう五年もたってしまった。五才若かった僕は、インドネシアで働いていた。勤めていた広告会社で、アジア内のあちこちの拠点にコピーライターやアートディレクターの中堅社員を送り込み、三ヶ月間、現地社員たちと席を並べて働くという研修プロジェクトがあ…

「電通辞めて三年たった予後観察(個人的メモ)」

僕は二〇一五年六月にそれまで十四年勤めた電通を辞めたので、もうすぐ三年になる。 この『月刊ショータ』では、「幸せに生きるための10のこと」みたいな、読んですぐ効いたような気がするコラムは書かないことにしているのだけど、今回は「本当のことを書く…

「#metoo 時代のHow to SEX」

僕の友人の稲元くん(仮名)は、女の子と飲みに行くと、「サラトガクーラー」を注文するという。彼は現在二十代で、カノジョはいない。 「なんでサラトガクーラーなの?」僕は尋ねた。 「サラトガクーラーというのは、ジンジャーエールとライムジュースのノ…

「銃でスポーツする人たち」

九〇年代の後半。僕がアメリカのケンタッキー州の大学にいる時、パブリック・スピーキングのクラスが必修だった。つまりはプレゼンテーションやスピーチなど、大勢の人の前で話をする技術を学ぶ教室だ。 その中で、「自分が好きなことについてスピーチをしろ…

人は「好き」でできている

先月、頼まれて講演をしたので、そこでお話ししたことを編集してお伝えしようと思う。 依頼は兵庫県立図書館からで、読書推進事業の一環として、若い人たちにもっと本を読んでもらおうというのがテーマであった。 今さら言うまでもなく出版業界というのは大…