月刊ショータ

元電通コピーライター。ずっと自称コラムニスト。著書『広告業界という無法地帯へ ダイジョーブか、みんな?』、『カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で』

2019-01-01から1年間の記事一覧

「誰もつくっていないのに、誰かがつくったかのようなルール」

長いこと日本社会を眺めていると、多くの人が感じているであろう息苦しさの一因はこういうところにあるのではないか、と考える。 それは、日本特有の「ただの慣習が、あたかもルールであるかのように固定化する現象」である。サラリーマン文化に顕著だ。 た…

「日本を救うでっかいハナシ」

先月、シアトル・マリナーズの球場でメジャーリーグの野球を観戦した際、ホットドッグとフレンチフライズ(ポテト)とビールを買ったら、27ドル50セントした。1ドル=110円として計算すると、3025円である。 それだけで3千円を超えているのである。 もちろ…

「なかなかしんどいワンダーランドへの旅③」

トレイルに入って3日目の朝、岳ちゃんは残りの三人よりも1時間ほど早く、8時半にキャンプ地を出て行った。「トレイルから逸れたところにクレセント・レイクという湖があって、そこが絶景らしいんです。そこで竿を振るのが、僕の今回の一番の希望なんです…

「なかなかしんどいワンダーランドへの旅②」

その晩は、疲れ果てて8時には寝て、狭いテントの中でもすぐに眠りに落ち、7時間ほど一気に眠った。 激しい雨音に目が覚めて、腕時計を見ると3時すぎだった。 車中泊をした前の晩の予報がヘヴィーレインだったが、今夜の方がよほどヘヴィーだ。遠くで雷鳴…

「なかなかしんどいワンダーランドへの旅①」

またしんどい旅をしてきた。 しんどかった旅をもう一度反芻して旅行記コラムを書くのもしんどいのだが、自分と、一緒に行った友人たちがのちに楽しめるように書くことにしよう。 そして、毎度そうなのだが、こんな外国の山奥に行きたくもないし、行く装備も…

「クレイジーでビューティフルな彼女の歌」

カントリーソングの話をしたい。たまにやるシリーズである。たとえば過去にはこんなのも。 monthly-shota.hatenablog.com 誤解を恐れずに言うと、僕が女の人を人間と認めたのはいつ頃だったろうか。 少年時代には、僕は女の人があまり好きではなくて、なるべ…

「ボカシだらけのニッポンに」

先月、参議院議員選挙が終わった。票を投じるにあたり、どういう日本になってほしいか、各人が考えたことだと思う。僕自身も、なんの権限もないのに、大統領にでもなったつもりでつらつら考えることはあるので、我が国、我が国民の「そういうの、やめといた…

「2019年上半期、凄味のある4冊」

今年も半分終わってしまった、ということで、ここ半年で読んでおもしろかった本を紹介することにしよう。僕の「読書感想文」程度の、とっ散らかったものです。 ■藤沢周 著『界』(文春文庫) 「文豪」という言葉を思うとき、僕は現代の文豪とは藤沢周さんな…

「パンツの中のタイガーが、ネコになったら」

「やっぱり君たちはなんにもわかっていない」とエラソーに思うことがあったので、この際エラソーに書いてしまおう。 それは、みんな大好き、チン○の話である。 先日、飲み会で女性と話していたところ、彼氏がEDなのだという。言わずと知れた、勃起不全である…

「『抱いてください』への長き道のり」

先月はじめにまた上田豪さんと田中泰延さんと、ヒマナイヌスタジオ神田より、飲みながらのトーク配信を行った。 www.youtube.com 一応、テーマらしきものを設定して、「僕たちだってこんなことで悩んでる」ということで事前にお悩み募集もした。たくさんのメ…

「面接にはオールバックで行きなさい」

僕が就職活動をしていたのは二〇〇〇年の春で、氷河期と呼ばれる期間(一九九三~二〇〇五年)の中でも、有効求人倍率で見れば最悪の数値を叩き出した、超がつく氷河期であった。 そういう時節に難関といわれる企業に入社したのだからエラいだろう、と自慢し…

「カウボーイは、よく眠る」

英語で、テントやタープ(屋根として張る布)を使わずに野宿することを「カウボーイ・キャンピング」という。 十九世紀の後半、アメリカで大陸横断鉄道が東部から西部へと敷設されていくと、肉牛を流通させるために、カウボーイたちは牛の大群を馬で追って、…

「誰もしたくない隣国のハナシ」

その方は、共同通信社から社費留学でフランスの大学に在籍して語学を身につけ、その後パリ支局長を務めて、新聞社に移籍。記者活動を通じて、日本のピューリッツァー賞ともいえるボーン・上田記念国際記者賞を受賞し、パリ在住二十年以上の実績を評価されて…