月刊ショータ

元電通コピーライター。ずっと自称コラムニスト。著書『広告業界という無法地帯へ ダイジョーブか、みんな?』、『カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で』

2014-01-01から1年間の記事一覧

「思惑交差点に立つ男と女」

とあるファッション雑誌編集長がフライデーされた。記事によると、こうだ。 二十三才のモデルA子さんは、若者に大人気のファッションショウへの出演を夢見ていた。有名編集長であるK氏を紹介してもらう機会を得て、会食をした。食事のあとにバーへと誘われ、…

「彼女は、死んだのだ」

こんな駅貼りポスターを目にした。人材派遣会社だったか、転職情報会社の広告で、こんなコピーが書かれていたかと思う。 「大人のあなたを変えるのは、恋と仕事です」 僕はこれを見て直感的に疑問を感じたのである。「そうかな……?」と。 いや、正直に申せば…

「十年念じよ」

僕は占いの類は信じないのだが、先日、勤め先の送別会で「ワタシ、手相が診られるんです」という女性と会話をしたので、せっかくだから僕の掌を診てもらうことにした。 彼女は僕の両手をグイッと引き寄せ、しばらく凝視したのち、いきなり、 「芸術家肌なタ…

「未来に届け、僕らの涙声」

アメリカを旅していた時のこと、オレゴン州ポートランドでとあるレザーショップに入ったところ、支払いカウンターにこのような表示、というか宣言が貼ってあった。 曰く、「私たちはどなたであってもサービスを拒絶する権利があります」。 「どなたであって…

「二〇〇〇㍍と二〇〇〇㌔の旅(シェア篇)」

4/4回 ポートランドに入ったのは、帰宅ラッシュの最中の午後五時半。高速道路は自動車で埋まっていた。 この町で、僕と旅の供である大谷さん(仮名)と滝下(仮名)は、バブル時代のOLも真っ青のショッピング三昧をすることに決めていた。それがなければ…

「二〇〇〇㍍と二〇〇〇㌔の旅(ロード篇)」

3/4回 前号の予告通り、山での「お花の摘み方」から始めよう。 僕はこれまで相当な数の山歩き関連の書物を読んできたはずである。しかし、「野ウンチの仕方」に関するちゃんとした描写は読んだことがないのであった。 いや、ウンチの仕方は想像できますわ…

「二〇〇〇㍍と二〇〇〇㌔の旅(トレイル篇)」

2/4回 カリフォルニア山岳地で、朝の涼やかな空気を吸って、コーヒーでも飲むとこれから冒険に臨む気分が高まる。二三六三メートルのスミス・ピークは標高だけを見れば大した山ではないかもしれない。しかし、ウェブサイトでは、「あまり使われないトレイ…

「二〇〇〇㍍と二〇〇〇㌔の旅(SF篇)」

1/4回 その晩僕は、山仲間であり、親友と呼んでなんの差支えもない大谷さん(仮名)をバーに呼び出し、こう問うたのだ。 「大谷さんよ、あそこにいつか行きたいねとか、いつかあれしようよ、と今まで話してきたことをね、そろそろ一つひとつ実現していか…

「ルールブック、読んだか?」

珍しく会社の先輩から昼食に誘われた。基本的には一人で考え事をしながら食べるのが好きなのだが、誘われたからには断らないようにしている。 で、ついて行ってみると部署の女性も一人来た。なんのことはない。元々、その先輩と後輩一名とその女性とで行く予…

「おばあちゃんの勲章」

祖母が亡くなった。享年九十九。これで僕の祖父母はみな冥途へと旅立ってしまった。 おばあちゃんは十年くらい前からボケが始まり、孫の僕らはおろか、最後の数年は自分の息子や嫁たちのことも認識しなくなった。だから、その次男である僕の父親が七年前に亡…

「三年ぶり(二十七度目)の思考停止」

東日本大震災から三年。テレビや新聞では特集が組まれていたけど、一瞬の盛り上がりを見せてまた静かになった。まるで十二月二十五日が過ぎたらクリスマスツリーを大急ぎで片付け、クリスマスのことは一切話さない日本特有の変わり身の早さを見るようだ。ち…

「演技する競技はスポーツか」

ソチオリンピックが終わって、なんだか「おつかれさん」感が世の中に漂っている。とはいっても、パラリンピックはこれから始まるので、奇麗事でなく、ちゃんと放送なり解説なりしてほしいなぁと思う。 前回のロンドン大会の時の英国のテレビ局が行なったパラ…