月刊ショータ

元電通コピーライター。ずっと自称コラムニスト。著書『広告業界という無法地帯へ ダイジョーブか、みんな?』、『カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で』

2020-07-01から1ヶ月間の記事一覧

「あらゆるものが『生きろ』と言うが」

死について考えるとき、それが身近な誰の死であっても悲しいものだろうし、なかんずく自分の死であるなら恐れない人はいない。死ぬのはなるべく先延ばしにしたいものだ。 ALS(筋萎縮性側索硬化症)に苦しむ女性が、医師二名に安楽死を依頼し、それに応えた…

『カウボーイ・サマー』(第1章無料公開)⑥最終回

DAY 6「陽気な牧場主」 目覚めると、目の前に牛の大群がいて慄然とした。朝靄もやにかすむ午前六時、牛たちは水を飲みに来たのだろう。 まだ誰も起きていないから、僕は読書をして待った。本を読む余裕もないほど毎日いろいろあったから、本を開くのは行きの…

『カウボーイ・サマー』(第1章無料公開)⑤

※DAY 5も、DAY 4につづいて殺生があります。閲覧注意ですね…。 DAY 5「命を扱う厳しさと、ジェイクの小さな夢」 晴れているが風の強い日。日曜日だから、仕事は遅めの開始とジェイクから伝えられていたのに、僕はまた六時半に目覚めてしまった。 馬とポニー…

『カウボーイ・サマー』(第1章無料公開)④

※このDAY 4は残酷な描写を含みますので、閲覧注意でお願いします。しかし、都市生活者の視点からは残酷でしょうが、牧場では当たり前のことなんですね…。 DAY 4 「牛の解体」 ミーが死んだ。 その日、僕はディーンの家の荷物整理を手伝って、不要な段ボール…

『カウボーイ・サマー』(第1章無料公開)③

DAY 3 「ブランディング」 三日目にして、ビッグデイを迎えた。ブランディングである。ブライアンとチャドという親子が経営する牧場へ、牛の焼印捺しの作業を手伝いに行くのだ。 焼印をブランド、それを捺す作業をブランディングと呼ぶが、広告業界で言う企…

『カウボーイ・サマー』(第1章無料公開)②

DAY 2 「カウボーイって今でもいるんですか?」 朝六時半に自然と目が覚めた。会社員時代にはまずなかったことだ。 僕は電通という広告会社のコピーライターだった。コピーを書くだけでなく、イヴェントをプロデュースしたり、ブランド・コンサルタントのよ…