月刊ショータ

元電通コピーライター。ずっと自称コラムニスト。著書『広告業界という無法地帯へ ダイジョーブか、みんな?』、『カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で』

2023-01-01から1年間の記事一覧

「おかんの白子のり」

私の母親はいくつか病気をしたあとに認知症が進んでひとりで暮らすことがままならなくなり、この春以来グループホームに入っている。 認知症というのは(人にもよるのだろうが)ゆっくり進んでいくようで、はじめは私たち家族にもわからなかった。ここ何年も…

「追悼 チバユウスケさん」

チバユウスケ氏が亡くなって、かなしい。 2023年はロクなことがなかった一年だが、年末にこれか、とガックリ膝から崩れ落ちるような喪失感だ。訃報から十数日が経つが、しばしばチバユウスケのことを考えてしまう。 私はただの一ファンで、もちろん個人的な…

「海軍の町・呉にて、オレは猛省した」

僕は仲間たちと「JR環状線一周飲み会」というのをここ何年もつづけている。一周19駅ある大阪の環状線を毎月ひと駅飲み歩くという遊びだ。 ルールは「ネット検索をせずに、足と勘で店を探す」、「チェーン店には入らず、地元のひとが来るような小さな店を選ぶ…

「夢への往来(佐渡旅 後篇)」

新潟県の直江津港から、佐渡島の小木港までは、フェリーで2時間40分かかる。 私はフェリーでの旅は過去にもしていて、大阪港から大分県の別府までは何度も乗っているし、愛媛県の八幡浜から大分県の臼杵までや、福岡県の新門司港から大阪港までなど、船旅は…

「18才のオレがいた(佐渡旅 前篇)」

私はこれまで読んだ本に導かれて旅をしてきた。 はじめてのひとり旅は、東京で生まれ育った少年が、日本海を見ようと富山県の朝日町を訪ねた。そこは映画『少年時代』(篠田正浩監督/1990年公開)のロケ地になっていて、十八才の私は目の前が海岸の民宿に泊…

アメリカンなミュージック

浅生鴨さんが主宰するネコノスから『異人と同人4 推し本』という同人誌が出まして、これは60人の参加者各人が「自分の”推し”を書き綴る」ものである。 私はかねてより「カントリーミュージックの普及」をライフワークとしているので、当然カントリーについ…

「20年書いた」

実は、この「月刊ショータ」は20周年なのである。書いている本人が、2023年も三分の一が過ぎてから気がついた。 2003年の1月に書きはじめたようだ。今回は20周年特別号として、この20年を振り返ってみよう。これは自分のために振り返るだけなので、読んだひ…

「存在を抱きしめたか」

2022年のFIFAワールドカップを観ていて「これまでとなにかちがう」と感じたのは、世界中の美女たちをカメラが抜く映像や報道がなかったことだ。ルッキズムとの批判を恐れたのだろう。正直に言うと、私はちょっと残念であった。美女がだめなら、美男も、マッ…

僕たちのフィルダースチョイス(小説)

今月はこちらでもどうぞ。一日二日はたのしめるかと思います。 〈高校の野球部から20年の付き合いである田辺(ジュン)、宇賀神(マガジン)、権藤(ゴンドーフ)、藤原(クゲ)という男たち四人は、中年になりそれぞれ仕事と家庭を持ち、各々の悩みを抱いて…