月刊ショータ

元電通コピーライター。ずっと自称コラムニスト。著書『広告業界という無法地帯へ ダイジョーブか、みんな?』、『カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で』

2012-01-01から1年間の記事一覧

Monas (National Monument) in Jakarta

「この橋渡るべからず in Jakarta」

「ソーリー、ソーリー」 辻本清美ではない。タクシー運転手のおじさんは、空港を出てものの十分で渋滞にぶつかると申し訳なさそうに手を合わせてそう言った。 「いえ、いいんですよ。あなたのせいじゃないし」 インドネシアのジャカルタの交通事情は事前に噂…

「自分でしたいの」

二人でとんカツを食べているとして、よもやおっさん同士が「いやいやいや」とか言い合って、お互いのカツにソースをかけ合ったりはしないものだ。でもお酒はそうではないらしく、ビール瓶を取り合うおっさんと、会計の際に「今日はワタシが」「いや、ワタシ…

腰がこうとか脚がどうとか

僕は、野球というものにほとんど注意を向けずに少年時代を過ごした。当時は『キャプテン翼』の時代だったので、サッカーこそが新しく、自由で、カッコいいスポーツの代表であって、野球は「古い」「厳しい」そして「ダサい」ものであるという印象があった。…

「ピックアップマンには何かがある」

初めて訪れたバンコク。現地の仕事仲間にもらったガイドブックには「アーバンジャングル」という表現があったが、まさに都市のジャングルと言っていい混沌と猥雑さに圧倒される。街を歩いてみると、一見廃墟のようなビルのひとつひとつに人の営みがあり、野…

「※見た目上の演出です。」

数年ぶりに少し年上の友人に再会したところ、頭髪が薄くなっていた。会話の中でそこに触れていいものか迷っていると、僕の視線に気付いたのか、彼の方から切り出した。 「アタマ、禿げたでしょ」 「え、ええ」 ちょっと、どう反応していいのか困るよね……。 …

「(4+9)×2の旅 後篇」

九州自動車道という高速道路に入り、鹿児島に向かってぶっ飛ばす。山道と格闘した後は高速道路のありがたみが身に沁みてわかる。周りには車も少なく、日差しに南国の峻烈さが窺えるようになってきた。 サービスエリアで話しかけられたトラックの運転手さんが…

「(4+9)×2の旅 中篇」

愛媛県の八幡浜港を出たフェリーは、約二時間をかけて大分県臼杵港に着く。乗客は潮風を避けて客室内で思い思いに時間を過ごしている。車庫を地下とすると、船は三階建てで、僕は二階の甲板のベンチで本を読んでいた。しかし、寒くなってきたので後半は室内…

「(4+9)×2の旅 前篇」

二十七才でモーターサイクルに乗り始めて十年目になる。カワサキのバルカンドリフターであちこち旅をしてきたけれど、二〇一〇年に相棒の大谷さん(仮名)と四国をぐるっと旅してフェリーで大阪港に帰った際に、「四国と九州もフェリーでつながっている」と…

「そらぁ、ええもんつくりまっせ」

前回に引き続き、おっさんのことについて書こうと思う。ひと月にも渡って考えるなら、若い女性と、そない若くない女性のことだけを考えていたいものだが、自分の将来(もしかしたらごく近い将来)について考えるつもりで、あえておっさんについて思考を巡ら…

「おっさん的傾向と対策」

週が明けると年度が変わり、僕は入社十二年目になる。 昨夜は会社の野球チームでシーズン開幕前の飲み会をしていたのだが、知らない間に自分が若手ではなくなってしまったことに気付かされた。僕よりも先輩の四〇代の方々とテーブルについて、皿やビールなん…

「明日を信じて」

他の国のことはよく知らないから想像で書くのだが、日本には女性専門の独特な職業がある。「いるだけ」が仕事の職業だ。無礼を承知で言うが、たとえばクラブとかキャバクラのおねえさん、そしていわゆるグラビアアイドルと呼ばれる人たちがそれにあたる。 週…

「衝突を避ける。徹底的に(本論)」

今からちょうど二年前の二〇一〇年一月号のコラムで、僕はこう書いた。 「せめてこの国が、歴史の嵐の末に手元に得た憲法九条を堅持しながらも、毅然と生きていくことを望む」 僕はたまに愛国的な発言をするから、傾向的に言うと、こういうタイプの人間は憲…