月刊ショータ

元電通コピーライター。ずっと自称コラムニスト。著書『広告業界という無法地帯へ ダイジョーブか、みんな?』、『カウボーイ・サマー 8000エイカーの仕事場で』

column

「やっぱりわかってないのね感」

「カワサキ オートバイ」とカタカナで胸に大きく書かれたTシャツを着ていたら、会社で色々な人に声をかけられた。 「なんでカワサキなの?」とか「バイク好きなの?」とか「それ、いいねぇ」とか。 僕は普段は社名やブランド名が書かれた服は避けている。自…

「みなさんの、心の中にあるのです」

ツタヤでDVDを選んでレジに持って行ったところ、店員がこう言う。 「今、三本ですでに千円越えてしまっているのですが、キャンペーン中ですので、四本借りていただければ千円になりますよ」 そっか、そんならもう一本借りない手はない。しかし、一週間レンタ…

「そんなことでやつらに勝てるんかい!」

去年大きな夏休みを取ってアメリカ横断をしてから、一年が経ってしまった。旅の最中には、いつまでも旅を続けたいと思ったし、こんな素晴らしい旅ができて、もう人生はいつ終わってもいいと思ったものだ。しかし、こうして一年何事もなく暮らしている。 それ…

「ポスターとか、無理でしょ」

先日行なわれた参議院選挙は、僕はいつもしているように期日前投票で済ませてきた。僕の住む選挙区は候補者が三人しかいない田舎なので、あまりおもしろくもなかった。というか票を投ずべき候補者を選べなくて煩悶した。 そんなネガティブなベクトルで悩まな…

「僕が見ちゃった日本(四国後篇)」

この日の予定は、蝶々みたいな形をした四国の右の羽根の下隅、高知県室戸岬から西へ向かって走り左の羽根の付け根あたりへ。四万十川に着いたら北へ上り、カルスト高原を走る。そして、山をいくつか越えて愛媛県東予の港まで。 僕はビビりなので事前にキッチ…

「僕が見ちゃった日本(四国前篇)」

ゴールデンウィークを目の前にして、僕は「四国バイクの旅」には兄の革ジャンを着て行くべきか、弟の革ジャンを着るべきか迷っていた。 冬が終わり春が訪れた頃になって、無性に革ジャンがほしくなってしまった。それも純粋にモーターサイクルに乗るためだけ…

「大切な、大切な、いのちの話」

「男は孤独な旅人である」と言えば、大概のことは許されると思って生きてきた。去年はアメリカ横断もさせてもらったし、このゴールデンウィークにはバイクで四国を旅してくる。 子供のいる人なんかは、友人たちとテニスするのも、欲しいもの買うのも許可がい…

「酔ったふりの男と興味あるふりの女のとある一夜」

昼間降っていた雨は上がっていた。雨が作った水たまりが、街灯の明かりを反射している。男はかなり酔いが回っていたが、それでも新しい靴を気にして水たまりを避けて歩いた。 「もう一軒行こう」 男は女に言った。尋ねたのではなく、誘ったのでもなく、言っ…

「とうとう今月から家計簿付け始めました」

僕が乗っているカワサキのバルカンドリフターというモーターサイクルは、僕の所有しているモデルを最後に生産中止となった。カワサキでは、(二〇一〇年二月)現在いわゆるクルーザーとかアメリカンとか呼ばれるタイプのバイクが生産されていない。ここ何年…

「元日に国を思う」

元旦に、ひとりで暮らす母親を連れて靖國神社に初詣参拝してきた。僕は三度目の靖國参拝であるが、母親は初めてであった。 正月早々、いつものようなウ○コチ○コの話に終始するのもナンなので、今回はこの、誤解に満ちた、英霊の社について少し語ろうと思う。…

「六〇〇マイルって言われてもわかんないよ(NYC篇)」

シアトルを出発して五日目。ドライブのゴールである、ケンタッキー州ボウリング・グリーンを目指して、セントルイスを朝七時過ぎに後にする。 インターステイト六十四号を東へ進み、イリノイ州の南部を横切り、インディアナ州エバンズビルを抜けて、ケンタッ…

「六〇〇マイルって言われてもわかんないよ(ミズーリ篇)」

【カンザスシティ】 僕も知らなかったのだが、カンザスシティというのはカンザス州にではなく、ミズーリ州に属している。シアトルを発って四日目のこの日、僕と後輩の神市(仮名)は、およそ二五〇マイル(四〇〇キロ)先のカンザスシティを目指す。 ここで…

「六〇〇マイルって言われてもわかんないよ(サウスダコタ篇)」

【ワイオミング州】 モンタナを眠ったまま出て、ワイオミング州へ。モンタナ州が「リバー・ランズ・スルー・イット」なら、ワイオミング州は男と男の、いや人間と人間の永遠の愛に心が痺れさせられる「ブロークバック・マウンテン」に描かれた土地だ。 これ…

「六〇〇マイルって言われてもわかんないよ(モンタナ篇)」

シアトルでは、買い物して、ベースボール観て、レンタカーにも慣れ、ダウンタウンを観光して、楽しく濃密な二日間を過ごした。が、しかし……。 お遊びは終わりだ。灼けたハイウェイが男たちを待っている。ただし、その男たちの一人は色白で、もう一人は最近シ…

「六〇〇マイルって言われてもわかんないよ(シアトル篇)」

敗戦記念日の八月十五日。僕はやや複雑な気持ちで機上の人となった。向かうは米国のシアトルである。 後輩の神市くん(仮名)と一年越しの計画であったアメリカ横断の旅を遂行するべく、アメリカ合衆国の北西に位置するワシントン州シアトルへ向かったのであ…

「いい国つくろうは数字ではない」

うちの妻の勤務先は、猥雑な大阪の中でも最も賑やかな界隈に接している。通りに車がしばらく停まっているから、妻が気にしていると、頭髪を「盛った」ギャルがビルから出て来た。車は女性を後部座席に乗せて走り去ったとのこと。 そして、会社から少し離れた…

「ではなんて言えばいいんだろう」

先日、東京の四ッ谷を訪れたところ、ロシアからプーチン首相が来日中のため街宣車と警察車両が出てワーワーやっていた。四ッ谷だけでなく東京の中心ではそこここに警官隊が陣を張り、なにやら厳戒態勢であった。 街宣車から大音量でシュプレヒコールが鳴り響…

そんなもんどうにもなるかぃ

まずはこちらのアンケート結果をご覧下さい。 日本民営鉄道協会による二〇〇八年度「駅と電車内の迷惑行為ランキング」である: 一位 座席の座り方 二位 泥酔状態での乗車 三位 電車内で騒ぐ 四位 携帯電話の使用 五位 ヘッドホンからの音漏れ (以下略。知…

「地球のために、ファックミー」

僕の仕事は広告を作ることなのだが、環境広告を作ってくれ、というお題ほど憂鬱なものはない。いきなり矛盾を感じるからだ。 「私らはこんなに環境のためにがんばっています」ということを、たとえ事実であれ、わざわざエネルギーや資源を使って訴えかけるこ…

「ごまかしましょう。それではサン、ハイ!」

勤め先の廊下を歩いていると、ふいにギュインギュインギュインと音が聞こえてくる。任天堂Wii「零〜月蝕の仮面〜」というゲームで、幽霊に遭遇した時の効果音にそっくりなのだが、こんな説明でわかる人はいないだろう。 確かに気持ちのいい音ではないが、こ…

「今でもそういう夢を見る」

夜の十時頃の仕事帰り。僕が電車を降りて駅から家への道を歩いていると、集団下校の小学生たちとすれ違う。夜の十時である。つまり、塾からの帰りなのだろう。塾の先生に引率されて駅に向かって歩いているのだ。最近は防犯意識が高まって、塾側もそこまでし…

「地元で生きて、地元で死んでいく彼らへ」

年末に立て続けに同窓会があって、なんだか形容しがたい不思議な気持ちでこれを書いております。月曜日に中学の同窓会、火曜日には高校の同窓会。後者は幹事団が半年以上も準備して実現してくれた大規模なもので、それは素晴らしいイベントになった。 でも、…

「三十三才の誕生日に、また言ってはいけないことを言おう」

会社でセクハラの意識啓蒙ビデオを見せられた。内容は、いわゆる「えっ、こんなこともセクハラなの!? どうして?」という、男性社員が犯しがちな事例集とその解説のかたちで構成されていた。 それを我々社員は、失笑と苦笑でもって鑑賞するのだが、その中…

「衆院解散前に先手マニフェスト(続き)」

前回に引き続き、マニフェストをお送りします。 【声出し禁止】 これを見て、どうせスケベな話だろうと想像された方は、お間違いです。 先日、うちのおかんがドイツに旅行に行った。おかんが泊めてもらった同級生の旦那さんがドイツ人で、元々はシェフ、その…

「衆院解散前に先手マニフェスト」

政治のことはよくわからんし、経済のことも興味ないので、勝手なことばかり言わせてもらうが、まぁオバハン議員の「台所感覚」よりはマシだろうと思うので、僕のマニフェストにお付き合いください。別に、将来立候補とかするつもりはありません。 【所得は十…

「くだらないコメディをまじめに語る」

日本では、アメリカンジョークというと、考え落ちの小咄みたいな「あんまり笑えない笑い話」というような受け取られ方をしているフシがある。それは国民性というか、文化の違いによってある程度仕方ないのだろうけど、僕はアメリカのユーモアセンスが大好き…

「夢想の詩」

僕は職業として広告を作ることをしているのだが、やっている側としてはこれはなかなかおもしろい仕事ではないかと思う。色々不満もあるし、人間関係とか力関係とか複雑な事情とかにがんじがらめで思うようにいかないことばかりだけど、サラリーマンが「オモ…

「ヒミツの公式」

そりゃ、ワタクシだって、若くてキレイな女性が好きなのだが、若くてキレイなだけの女性は嫌い、という相反する気持ちがあり、僕は日々、ほぼ関わりもないのに勝手に苦しみながら生きている。 若くてキレイな女性が好きなことについては、大概の方々のご理解…

「思ったほど白くなかった僕たちのこと」

世界的に有名な野球選手に、メジャーへ移籍したばかりの日本人選手について、「彼をどう思うか」などと質問する記者。 同様に、グラミー受賞アーティストに、日本人歌手について意見を訊くレポーター。「ウタダを知っているか」みたいに。 「人種差別するわ…

「まだ見ぬ娘への十箇条(続き)」

以下、娘に遺したい十箇条である。娘以外の女性にも有効な、ありがたい言葉なので、精読し、できれば暗記していただきたい。同時に、男女のことであるから、性の問題は避けて通れない、ということをご承知おきいただきたい。つまり、下ネタばかりである。 一…