月刊ショータ

元電通コピーライター。ずっと自称コラムニスト。2003年より書いていた月イチコラム「月刊ショータ http://monthly-shota.jp 」をhatenaに転載しました。そのため、一部お見苦しい点があることをご容赦ください。

「それって恋だぜ」

名古屋市で四十四才のアダルトビデオ製作販売店経営者の男が逮捕された。
よくある、なんてことないニュースだ。
当時十六才だった女子高生が出演している無修正ビデオをインターネット通販で購入し、それにボカシ処理を加えて複製し販売したという。
一体、なにが悪いというのか。ご丁寧にボカシまで入れていただいて、菓子折り持ってお礼を言われることこそあれ、どこに犯罪者の謗りを受けることがあろうか。素人の僕にわかる範囲では、まず販売目的で勝手に複製しているわけだから、著作権の侵害にあたるのだろう。
複製するだけならともかく、許可なくボカシ処理など加えてはいけない。それは著作者の人格権を侵害している。著作者がどういう製作意図を持って、そのビデオを無修正にしたのか、ちょっとは気持ちを汲んであげてもらいたい。
元々の製作者に訴えられたら、この名古屋のおっさんは必ず敗訴するだろう。そして、このビデオによって生まれたであろう利益の賠償と、製作者の精神的苦痛に対し慰謝料を払うことになる。
しかし、そもそもこのビデオ自体が非合法の商品なので、どうなるのだろう。
実際は、彼の罪状は児童買春・ポルノ禁止法違反という比較的新しい名称のものである。
この女子高生が、自分が写っているビデオがレンタルされていると、知人から教えてもらったために、警察署に相談し事件が発覚したという。
「あの〜、おまわりさん。なぜだか知らない内に、ワタシがアダルトビデオに出演していて、レンタル屋さんに並んでるんですけどぉ……」か。気付かぬ間にホテルの一室に来ていて、わからないままにインタビューに答え、覚えてないのにxxxされて、ワタシは全然悪くないのに***されちゃったのだろう。
うん、それは警察に言った方がいい。
知らない間にビデオに出演しちゃうことって誰にでもあることだから、気を付けなくちゃいけないよね。
ドアホ。
それともなにか? 勝手にボカシ入れられたことに対し不満なのだろうか? お? 複製して販売された二〇九本分のギャラもよこせか、コラ? 撮られたエッチなシーンが、撮影者の個人的な鑑賞を目的に限定されるとでも思ったか?
泣くまでやめねえぞ、コノヤロー!
知人に教えてもらったなんて、あー恥ずかしい。どんな知人やねん。
売春とか麻薬というものは被害者なき犯罪と呼ばれているが、いい加減合法化したらどうだろう。僕が大統領選に出るときは、それを公約のひとつに入れると思う。まぁ、日本には世間を知らないおばはん団体とか、勘違いした偽善者団体が多いから絶対に当選することはないだろうけど。
買春をはじめとする犯罪で捕まった人を擁護するのが本意ではないが、需要があって供給があり、しかも歴史的に見ても地理的に見ても全くユニヴァーサルなこの商売を根絶しようとする方が無理ってもんだ。ちゃんと管理して、資金がヤクザではなく、税金に組み込まれるシステムを作るほうがよほど建設的だ。それで集まった税金(おそらく莫大な額になろう)を、教育や福祉に廻したらいいではないか。全体の教育レベルが向上すれば、ブランド物や遊ぶ金欲しさに売春に手を染める未成年など減少する。それでも、どーしてもそういう手段でお金を稼がなくちゃいけない困った人たちは一定数存在し続けるから、それは政府が管理する。
これで、みんなハッピー。イェイ!
性欲という、人間の純然たる健全な欲求を、隠匿して、抑圧を強いてきたからこそ、現代の歪みが生じているのだと思う。
毎日毎日、ニュースではいわゆる「イタズラ」事件が報道されていてウンザリする。先生などもはや性犯罪報道の常連だし、PTA会長から警察官から自衛官から教授から何まで、僕にはもう「どうしちまったんだー!」と叫びたくなる思いしかない。
「全く、みんなイタズラっ子だなぁ、アッハッハ」などと笑ってる場合ではない。
男性は常に加害者として扱われるが、考えてみれば、生徒と結婚した先生など、僕の学生時代にもいたわけで、性行為は犯罪だが恋愛は自由という、一体どう区別していいのかわからない不文律があるではないか。
個人的には、婚前交渉なしにする結婚など、僕はオススメしないぞ。相性が悪かったらどうするのだ。
千差マン別という言葉を知らんのか。よくなかったら簡単に離婚手続きしてもいいのか。
結局、女性が被害を申告した時点で犯罪として扱われるのであって、「その女性が嫌がっているかどうか」「強制したかしないか」が分かれ道だ。それでも、実際に報道された、教え子の女子高生とエッチなことしてクビになった先生は「指導する内に、恋愛感情のようなものを抱いてしまった」と供述していた。
「センセよぉ、それって恋だぜ」
……では済まされない。気の毒だが。
嫌がられてもいないし、強制もしていないのに捕まることすらあるのだ。今後は、教員免許の授与には去勢を義務化する方がお互いのためなのかもしれない。よっしゃ、これも公約に入れよう。
性というものの深遠さは、法律で規制できるものではなく、これまた議論を進めると性犯罪者を擁護することにもなりかねないから、表現には留意しなくてはいけないが、どこまでが正常でどこからが異常なのか、誰に決める権利があるというのか。
みんながみんな、週刊誌のグラビアに興奮すると思ったら大間違いで、人間界にはありとあらゆる性的嗜好がある。中には「おしめをして、女性に罵倒されながら漏らしちゃわないとイカない」というド変態もいるわけで、そういうふうに生まれちゃった人はとても不憫だ。それでも、そういう人も欲求を満たさなくては生きていけない。
もしかしたら、あなたが昨日道を尋ねた警察官がそういう人なのかも知れないのだ。
僕のお得意さんに、木下さん(仮名)というおよそ人畜無害な、おとなし過ぎておもしろくもない人がいる。あるイベント中に、木下さんの上司が若手社員に向かって
「春川さんに連絡しろ! え? なに? お前、携帯番号知らないのかー!?」
と慌てていた。そこで、木下さんは、
「こ、これでかけなさい」
と咄嗟に自分の携帯電話をその若手くんに渡した。
若手社員が、「春川」だから「ハ」で検索してみると、一発目に……、「パイパンクラブ」が出てきた。
「普通の」人が、「普通の」欲望を持っているかどうかはわからないのだ。
そして、哀しくも冷たい現実は、合法的に欲求を満たせない人は一生ムショで暮らすか、死ぬしかないのだ。幼女誘拐殺人で捕まった何某が、死刑を望む理由はそこにある。「それが許されないのなら、生きない方がいい」。人間にとっての生と性とはそういうものだろう。
とにかく、僕は、普通の女性に普通に興奮する、全く普通で凡庸なる男に生まれたことに、あらためて両親に、神に感謝する。
言わせていただけるなら、そりゃあ、お尻がプリッとしてて、脚がきれいで、ちょっと寂しそうで、でも結構エッチだったりして、メガネが似合ったりする女性が、好ましくないと言ったら、まぁそれはウソになると認めざるを得ない……。
あ、ガーターベルトに強い憧れもある(実際には見たことない)。
スカートめくってみて、そこに小型拳銃のホルスターとかぶら下がってれば、なおよし。
大統領になったら、そういう秘書を雇おう。
六、七人ね。
(了)