読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

月刊ショータ

元電通コピーライター。ずっと自称コラムニスト。2003年より書いていた月イチコラム「月刊ショータ http://monthly-shota.jp 」をhatenaに転載しました。そのため、一部お見苦しい点があることをご容赦ください。

拙著の「はじめに」を転載します

拙著『広告業界という無法地帯へ ダイジョーブか、みんな?』が刊行され、おかげさまでまずまずの評価をいただいています。 売上ランキングのどこで1位とか、それはひとまず措いて、読んでくださった人が「一気読みでした」「せつない気持ちになって、ちょ…

「小さな本屋さんと僕と電通のかかわり」

電通関西支社には昔から出入りされている書店がある。まや書店という。 店舗は大阪は淀屋橋の三井物産ビルの地下にあって、僕はそこにも行ったことあるのだけど、五人も入ったら一杯なくらい小さな本屋さんだ。 主人のおじいちゃんがいつも痩せた体で、雑誌…

「トランプ大統領就任演説に見るアメリカ人の限界」

ドナルド・トランプ新大統領の就任演説で、何をどのように言っているのか、全文を読んでみた。 www.huffingtonpost.jp www.newsweekjapan.jp 演説における言葉遣いや品位を問う声もあったが、まぁ、なんと言うか、間違ったことは言っていないかもしれないが…

「電通はなくならない。自由がまたひとつ、なくなる」

去る十二月二十三日に、電通が二〇一六年の「ブラック企業大賞」に選ばれ、二十六日には厚生労働省の長時間労働削減推進本部(本部長・塩崎恭久厚労省)が、過労死ゼロを目指す緊急対策を公表した。 ・企業に対し、実働時間と自己申告時間の乖離がないよう実…

「不寛容という見えない敵に」

しんどい一ヶ月であった。 先月書いたコラム『広告業界という無法地帯へ』への反響として、メディア各社から取材が押し寄せた。新聞社二社、テレビ局四社、雑誌社二社、インターネット系二社など。ラジオ番組でも僕の知らないところで紹介されていたようだ。…

「広告業界という無法地帯へ」

電通の新入社員が自殺して、超過勤務による労災が認定されたという出来事が、メディアで連日取り上げられている。若くして人生を諦めてしまった女性社員の無念と、ご家族の心痛と、友人や同僚たちの動揺を思うと、僕の心も穏やかではいられない。 僕は二〇〇…

「アメリカはどこにあるんだ」

誰しも、使命感を持って続けていることがあるのではないだろうか。子供を育てることもそうだし、仕事にそれを感じて取り組んでいる人もいるだろうし、地域や業界や趣味で、何かの団体に所属することもそれに通じるものがあるだろう。 僕にとってそれはカント…

「ウヨクに言いたい。サヨクに訊きたい」

「テレビが報じない!」、「言論封殺だ!」と嘆きながら、ネットで思い切り自由に発言している意見がよく聞こえてくる。 「いい時代のいい国に生まれたじゃないか、キミたち」と、僕は思って眺めている。 現代のテレビ放送のメジャー局がどういう人々に向け…

「ウトゥクシクモナイシ、カワイクモナイクセニ」

サラリーマンの仕事をドライヴするものは「怒られたくない」という動機であると喝破したのは、元博報堂のネットニュース編集者、中川淳一郎さんである。 広告業界のしょーもないエピソードが著書である『夢、死ね』(星海社新書 二〇一四年)に書かれていて…

「ウトゥクシク、ナリタイナ」

ある晩、もう二十三時くらいのことだ。 後輩のアートディレクター(以下、AD)が喫煙室に入ってくるなり、イライラした様子で煙草に火を点けて、大きなため息をひとつ吐いた。 「どうした?」 先輩の僕は一応声をかける。 「もうムチャクチャっすよ。ポス…

畳と茣蓙と科学的屁理屈

(前回からの続き)ようやく婚約を果たしたユウちゃんの話を聞きながら、浮かない表情の二人がいた。共に独身のアキちゃん(仮名)と滝下(仮名)である。 「どうしたら、そういうことになれるのでしょう……」 人間関係という深遠なものに対する完全な対処法…

「スタンプカードが一杯になったようなのだ」

コラムに二度登場いただいているユウちゃん(仮名)である。 初めに書いたのは、二〇一四年五月号「ルールブック、読んだか?」の中だった。その続報として、翌年六月にまた書いた。 私は、彼女のいじらしくて切ない恋の行方を静かに見守っていた。 二十九才…

Santa Monica, California

「カウボーイハットの内側に」

■「ハーブという男」篇 十五年近く勤めた広告会社を辞めて、ひと夏の間、カナダにてカウボーイをして過ごすことにした。今はもうすでに帰国して、三ヶ月が経ったところだ。 僕がお世話になったキング牧場は、ハーブという六六才(当時)の男と、その息子のケ…

「荒くれ者の端くれとして」

■「ケヴィンという男」篇 十五年近く勤めた広告会社を辞めて、ひと夏の間、カナダにてカウボーイをして過ごすことにした。今、ふた月が経ったところだ。 ケヴィンという荒くれ者カウボーイ一家の牧場に滞在して、その両親であるハーブとイーディスという夫婦…

「どーでもいいこと、よくないこと」

■「ジェイクという男」篇 十五年近く勤めた広告会社を辞めて、ひと夏の間、カナダにてカウボーイをして過ごすことにした。今、ひと月経とうというところだ。 会社は大企業だったから、知人の中には「えぇーっ、もったいない」などと言う人もいたけれど、「お…

「カッコつけろよ(続 ルールブック、読んだか?)」

およそ一年前のコラム、「ルールブック、読んだか?」の中で、僕は同僚のユウちゃん(仮名)という女性の、恋の話について書いたのだった。 月刊ショータ14年5月号: http://goo.gl/RxFKKH その後、ユウちゃんとナオトくん(知らんけど)の恋の行方はどう…

「ラブホテル村に行きたくはないのか」

以下は、信じられないような実話である。 僕の取引先に〇村さん(あえて伏せます)という方がいる。その方からのメールを携帯電話で確認すると、必ずお名前が[ラブホテル]村と表示されるのだ。その〇に入る漢字はちょっと珍しいのだが、文字化けというか、変…

心に火を。尻にも火を

広告企画制作の仕事をしていると、初対面の人などにこのように言われることがある。 「クリエイターって、ゼロから何かを生み出すんだから大変な仕事ですね」 僕は毎度こう答える。 「ゼロからじゃないですよ。商品があって、クライアントの指示があるんだか…

「ヒジがね、当たってますねん」

二年半ぶりのタイ王国。アジア太平洋地域の広告祭に参加するためだったのだが、費用は自腹で行ってきた。今回は若いデザイナー二名が同行した。二人ともアジアの外国は初めてで、うち一人は三十才にして初海外。それどころか初飛行機だったらしい。 三十まで…

「名前を付けよう」

景気が緩やかに回復していると言われているけど、テレビや新聞が「アベノミクスの効果を感じるか」などと街頭調査をすると「感じない」が大半を占めたりする。それをメディアはうれしそうに報じる。「恩恵は富裕層だけ」とか「大企業だけ」とか、批判する声…

「思惑交差点に立つ男と女」

とあるファッション雑誌編集長がフライデーされた。記事によると、こうだ。 二十三才のモデルA子さんは、若者に大人気のファッションショウへの出演を夢見ていた。有名編集長であるK氏を紹介してもらう機会を得て、会食をした。食事のあとにバーへと誘われ、…

「彼女は、死んだのだ」

こんな駅貼りポスターを目にした。人材派遣会社だったか、転職情報会社の広告で、こんなコピーが書かれていたかと思う。 「大人のあなたを変えるのは、恋と仕事です」 僕はこれを見て直感的に疑問を感じたのである。「そうかな……?」と。 いや、正直に申せば…

「十年念じよ」

僕は占いの類は信じないのだが、先日、勤め先の送別会で「ワタシ、手相が診られるんです」という女性と会話をしたので、せっかくだから僕の掌を診てもらうことにした。 彼女は僕の両手をグイッと引き寄せ、しばらく凝視したのち、いきなり、 「芸術家肌なタ…

「未来に届け、僕らの涙声」

アメリカを旅していた時のこと、オレゴン州ポートランドでとあるレザーショップに入ったところ、支払いカウンターにこのような表示、というか宣言が貼ってあった。 曰く、「私たちはどなたであってもサービスを拒絶する権利があります」。 「どなたであって…

「二〇〇〇㍍と二〇〇〇㌔の旅(シェア篇)」

4/4回 ポートランドに入ったのは、帰宅ラッシュの最中の午後五時半。高速道路は自動車で埋まっていた。 この町で、僕と旅の供である大谷さん(仮名)と滝下(仮名)は、バブル時代のOLも真っ青のショッピング三昧をすることに決めていた。それがなければ…

「二〇〇〇㍍と二〇〇〇㌔の旅(ロード篇)」

3/4回 前号の予告通り、山での「お花の摘み方」から始めよう。 僕はこれまで相当な数の山歩き関連の書物を読んできたはずである。しかし、「野ウンチの仕方」に関するちゃんとした描写は読んだことがないのであった。 いや、ウンチの仕方は想像できますわ…

「二〇〇〇㍍と二〇〇〇㌔の旅(トレイル篇)」

2/4回 カリフォルニア山岳地で、朝の涼やかな空気を吸って、コーヒーでも飲むとこれから冒険に臨む気分が高まる。二三六三メートルのスミス・ピークは標高だけを見れば大した山ではないかもしれない。しかし、ウェブサイトでは、「あまり使われないトレイ…

「二〇〇〇㍍と二〇〇〇㌔の旅(SF篇)」

1/4回 その晩僕は、山仲間であり、親友と呼んでなんの差支えもない大谷さん(仮名)をバーに呼び出し、こう問うたのだ。 「大谷さんよ、あそこにいつか行きたいねとか、いつかあれしようよ、と今まで話してきたことをね、そろそろ一つひとつ実現していか…

「ルールブック、読んだか?」

珍しく会社の先輩から昼食に誘われた。基本的には一人で考え事をしながら食べるのが好きなのだが、誘われたからには断らないようにしている。 で、ついて行ってみると部署の女性も一人来た。なんのことはない。元々、その先輩と後輩一名とその女性とで行く予…

「おばあちゃんの勲章」

祖母が亡くなった。享年九十九。これで僕の祖父母はみな冥途へと旅立ってしまった。 おばあちゃんは十年くらい前からボケが始まり、孫の僕らはおろか、最後の数年は自分の息子や嫁たちのことも認識しなくなった。だから、その次男である僕の父親が七年前に亡…

「三年ぶり(二十七度目)の思考停止」

東日本大震災から三年。テレビや新聞では特集が組まれていたけど、一瞬の盛り上がりを見せてまた静かになった。まるで十二月二十五日が過ぎたらクリスマスツリーを大急ぎで片付け、クリスマスのことは一切話さない日本特有の変わり身の早さを見るようだ。ち…

「演技する競技はスポーツか」

ソチオリンピックが終わって、なんだか「おつかれさん」感が世の中に漂っている。とはいっても、パラリンピックはこれから始まるので、奇麗事でなく、ちゃんと放送なり解説なりしてほしいなぁと思う。 前回のロンドン大会の時の英国のテレビ局が行なったパラ…

「ドラマはあるか」

今年の初めに、インドネシアからマレーシアはクアラルンプールを訪れた時のこと、僕は下着を現地調達するつもりで持って行かなかったので、街を歩きながらパンツと靴下を探していた。ショッピングモールで「無印良品」を見つけて、物品を見ていたのだが、パ…

「時を越えるもの、国境を越えるもの」

先日、東京は青山のよく行くお店で中古の茶色いブーツを発見した。そのブーツはmotoという、鳥取ベースで本池さんという革職人が作るブランドで、アメリカものほどのゴツさがなくて、革もいい色にヤレていた。サイズは2で(motoはサイズが「1/2/3」表…

「始まることもない恋の話」

カントリーゴールドという、カントリーミュージックの野外コンサートイベントが毎年開催されていて、今年でもう二十五周年だという。毎回、本国アメリカからカントリー歌手を招聘し、ファンに本場のカントリーを直に聴ける貴重な機会を与えている。僕は、実…

「人は青春にしか生きられないのだ」

高校生の頃に、映画が好きでよく劇場に行っていた。今は亡き池袋の文芸座(現在は新文芸座としてパチンコ屋のビルの一テナントとなっているという)に、旧作の映画を観に行った。現在の新文芸座で、名画が二本で一三〇〇円という。九〇年代当時は千円ではな…

「『あの夏』を語る語る」

先日、写真家の友人と後輩とカントリーバーで飲んでいる時に、僕の好きな曲がかかり、この、Garth Brooksの"That Summer"という名曲について二人に話した。なんだか僕のカントリー熱が着火してしまって、その歌詞を翻訳して二人にご紹介させてもらった。 「…

「生きていこうと思うじゃねえか」

ネットでとある情報サイトを見ていたら「スーツに合うヘアスタイル」特集があった。僕は普段スーツは着ないので関係ないのだが、そういう流行にも疎い質なので覗いてみた。 ガッカリであった。どこが「スーツに合う」のかがわからんのだ。言いたいことは色々…

「バカちんのための、インプレのインプレ」

今、僕が乗っているモーターサイクルが、購入して十年、自動車が九年経っている。今年は両方車検が来てしまう年なのだが、特段不満も、故障も、そしてお金もないので買い替えるような予定はない。ちゃんと走るし、ちゃんと曲がる。もちろんちゃんと止まる。…

「追悼 加藤則芳さん」

おそらく加藤則芳さんのお名前を知る人は、一般にはさほど多くないだろう。しかし、アウトドア、とりわけ山歩きの世界においては「ロングトレイル」という概念を日本に紹介した第一人者として知られている。世界のトレイルを歩き、それを通じて自然と人間の…

「Giを忘れるべからず in Jakarta」

①「そろそろサクラの季節だろ? 日本人はどうしてそんなにサクラが好きなんだ?」 ②「サクラの下でパーティするというのは本当なのか?」 ③「クライアントが『モダンジャパニーズなデザインに』っていうんだけど、モダンジャパニーズってなんなんだ?」 その…

Ho Chi Minh City, Vietnam

「一瞬たりとも油断すべからず to Bandung」

インドネシアのジャカルタという街は、観光用にできているとは言い難い。あまり見るべきものはなく、街を歩けるような構造にもなっていない。巨大なショッピングモールばかりがあちこちに濫立していて、しかも中身は大体画一的。どこに行っても同じショップ…

「いちいち怒るべからず in Jakarta」

前号でジャカルタに滞在するにあたり、「この橋は渡るな」と忠告されて来たことを書いた。滞在ちょうど一ヶ月になるが、雨が降っていない限りは毎日橋を歩いて通勤している。今のところどうということもない。ちゃんと周りに注意してサングラスかけて早足で…

Monas (National Monument) in Jakarta

「この橋渡るべからず in Jakarta」

「ソーリー、ソーリー」 辻本清美ではない。タクシー運転手のおじさんは、空港を出てものの十分で渋滞にぶつかると申し訳なさそうに手を合わせてそう言った。 「いえ、いいんですよ。あなたのせいじゃないし」 インドネシアのジャカルタの交通事情は事前に噂…

「自分でしたいの」

二人でとんカツを食べているとして、よもやおっさん同士が「いやいやいや」とか言い合って、お互いのカツにソースをかけ合ったりはしないものだ。でもお酒はそうではないらしく、ビール瓶を取り合うおっさんと、会計の際に「今日はワタシが」「いや、ワタシ…

腰がこうとか脚がどうとか

僕は、野球というものにほとんど注意を向けずに少年時代を過ごした。当時は『キャプテン翼』の時代だったので、サッカーこそが新しく、自由で、カッコいいスポーツの代表であって、野球は「古い」「厳しい」そして「ダサい」ものであるという印象があった。…

「ピックアップマンには何かがある」

初めて訪れたバンコク。現地の仕事仲間にもらったガイドブックには「アーバンジャングル」という表現があったが、まさに都市のジャングルと言っていい混沌と猥雑さに圧倒される。街を歩いてみると、一見廃墟のようなビルのひとつひとつに人の営みがあり、野…